「誰かExcel開いてますか?」と叫び回る日々。共有ブックが壊れて3時間の作業が消えた絶望の記録

ファイルは使用中」の無力感

前夜、書店で平積みになっていた分厚いAccessの解説本を買い込み。深夜までページをめくっていた。頭の中には、すでに美しいデータベースの青写真が広がっている。これで長年部署を苦しめてきた「手作業のエクセル地獄」から抜け出せる。そんな根拠のない全能感に包まれたまま、翌朝のオフィスに出社した。

自席のPCを立ち上げ。いつものようにファイルサーバーの奥深くにある「【最新】全社受注管理システム(ExcelVBA + Access ADO連携)_統合版.xlsx」のアイコンをダブルクリックする。緑色のスプラッシュスクリーンが表示され。下部のステータスバーが「読み込み中」を示す。だが、パーセンテージが途中でピタリと止まる。

まず、マウスカーソルが青い輪っかに変わり、虚しく回転し続ける。嫌な予感。数秒の沈黙の後、画面の中央に突き付けられたのは。これまで何百回と見せられてきた見慣れたグレーの小窓だった。

「ファイルは使用中です」

Excelファイルロックが招く無力な足止め

ダイアログには「〇〇さんがロックしています」という無機質なテキスト。この瞬間の、全身の血の気が引くような脱力感。意気揚々と業務改善に乗り出そうとした矢先の、あまりにも呆気ない出鼻の挫かれ方。

次に、みぞおちのあたりがずんと重くなる感覚、とでも表現すればいいだろうか。今日やろうと思っていた作業の段取りが、脳内で音もなく崩れていく。別に怒鳴り込む相手がいるわけでもない。ただ、この理不尽な現実を受け入れるしかないという。どうしようもない無力感だけが残る。

たった一人がファイルを開いているだけで、他の全員が足止めを食らう。これこそが、ファイルサーバー上でExcelを運用する際の最大のボトルネック。データベースなら当たり前のように備わっている「行レベルの排他制御」など。表計算ソフトには存在しない。「ファイル全体」という巨大な単位でしかロックをかけられない構造的欠陥が。そこに横たわっている。

「読み取り専用で開く」か、「通知」ボタンを押して空くのを待つか。どちらを選んだところで、私の本来の業務は完全にストップする。データ入力という単純作業すら許されない。ただ、画面の前で誰かがファイルを閉じるのを待つだけの。無価値な時間が始まろうとしていた。

Excelロックと終わらない徒労

一方で、ダイアログに表示される「〇〇さんがロックしています」という名前が。正確であればまだ救いはある。しかし。不気味なことに「別のユーザーがロックしています」としか表示されない謎の現象が頻発する。Excelの古いキャッシュが残っているのか、ネットワークの瞬断が原因なのか。理由はわからない。ただ確かなのは。今すぐ入力を終わらせないと午後の会議に間に合わないという事実だけ。

ここから、オフィスでの滑稽で泥臭い「犯人探し」が幕を開ける。

立ち上がり、フロアを見渡す。「すいません。受注管理システム(ExcelVBA + Access ADO連携)を開いてる人いませんかー!?」と。声を張り上げる。キーボードを叩く音が響く静かなオフィスで、自分の焦りだけが空回りする。返事はありません。

共有Excelの悪夢

そのため、仕方なく、一人ひとりのデスクを回る羽目になる。隣の部署の先輩、トイレで席を外している後輩の画面を覗き込む。ひどい時には、外出してしまった営業担当のPCがスリープ状態で鎮座しており。その裏でExcelが開きっぱなしになっているケースすらある。本人は悪気など一切ない。「ちょっと確認したかっただけ」。ただそれだけで、部署全体のデータ更新が停止する。

誰の悪意もない。それが余計にやるせない。無言で席を立ち、他人のモニターを覗き込んでまわる自分が、酷く滑稽に思えた。怒りをぶつける相手がどこにもいないだけに、胸に湧いてくるのは怒りではなく。静かで深い疲労感だった。

犯人が見つからない、あるいは強制終了させる権限がない場合、残された道は一つ。「読み取り専用」ボタンをクリックし、敗北を受け入れることです。

コピペ地獄とデータ破壊の恐怖

しかし、開いたファイルは、当然ながら上書き保存ができない。自分の担当部分のデータを入力し。「受注管理システム(ExcelVBA + Access ADO連携)_〇〇作業用_一時保存.xlsx」といった歪な名前でローカルのデスクトップに保存する。そして、本番ファイルが空いた隙を狙い、猛スピードで元のファイルを開いて。一時保存したデータをコピー&ペーストする。

この無益なルーティンが、1日に何度も繰り返された。犯人探しとコピペ、そしてデータのズレ確認。積み上げれば、1日あたり優に45分は超える「待ち時間」が。本来やるべき業務から容赦なく差し引かれていく。

もし、自分がコピペをしている最中に別の誰かが同じことを考えていたら。最悪の場合、行がズレて他人のデータを上書きしてしまう。この「終わらない二度手間」と「データ破壊の恐怖」に怯えながら。神経をすり減らす作業が毎日繰り返されていた。

Excelレガシー共有の罠

さらに、「こんな非効率なことをいつまでも続けていられるか」。限界に達した私は、ネットの海を這いずり回り、ついに一つの「解決策」に辿り着いた。

Excelの「校閲」タブの奥深くに隠された機能。「ブックの共有(レガシー)」。

ダイアログボックスを開き、「複数のユーザーによる同時編集と。ブックの結合を許可する」という魔法のようなチェックボックスに印を入れる。OKを押した瞬間、タイトルバーのファイル名の横に「[共有]」という文字が輝いた。

まず、これで、あの忌まわしい「使用中です」ダイアログから解放される。複数人で同時にセルを編集し、保存ボタンを押すだけでデータが統合される。まさに革命。部署内に「これからは同時編集できます!」と誇らしげにアナウンスした日のことを。今でも鮮明に覚えている。

だが、それは破滅への入り口に過ぎなかった。レガシー(遺物)という言葉の不吉さに、当時の自分は気づく由もありません。

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共有ブックのデータ消失

悲劇は数日後の金曜夕方、月末の集計作業が大詰めを迎えていた時間帯に起きた。複数の担当者が一斉にデータを入力し、熱気を帯びる共有ブック。私は最終確認を終え。いつものようにCtrl+S(保存)のショートカットキーを叩いた。

次に、通常なら一瞬で終わるはずの保存処理。しかし、マウスポインタが砂時計に変わったまま、一向に戻らない。画面の描画が止まり、タイトルバーに「(応答なし)」の文字が浮かび上がる。マウスを動かしても反応はない。PCの冷却ファンだけが、不気味な高音を立てて回り始める。

祈るようにモニターを見つめること数分。画面全体が白くフェードアウトし、無情なエラーダイアログがポップアップした。

「ファイルが破損しているため、開くことができませんでした」

一方で、頭の中が真っ白になる。強制終了されたExcelを再起動し、震える手でフォルダを開く。そこにあるはずのファイルを開くと。意味不明な記号が羅列された文字化けの残骸だけが残されていた。バックアップファイルも、なぜか数日前の古い状態。

共有ブックは砂上の楼閣、データ消失の罠

その日の午後から積み上げてきた、部署全員の約3時間分の入力データが。完全に失われた。

共有ブックという機能は、内部でそれぞれのユーザーの変更履歴を隠し持ち。保存のタイミングで強引に同期を図るという極めて危うい仕組みで動いている。誰かが大量の行をコピー&ペーストしたり、ネットワークが一瞬でも瞬断したりすれば。同期情報の整合性が崩壊し、いとも簡単にファイル全体が道連れになる。砂上の楼閣。便利さの裏に隠された、データ消失という名のブラックアウトだった。

DX時代のExcel共同編集、本質変わらぬ競合

そのため、それから時は流れ、物理的なファイルサーバーは撤廃された。会社はDX(デジタルトランスフォーメーション)の旗印のもと。Microsoft 365を導入。データはすべてSharePointやOneDriveというクラウドの海へと移行した。

「クラウド化」「リアルタイム共同編集」。IT部門が作成した美しいマニュアルには、甘美な言葉が並んでいた。これで共有ブックの悪夢から完全に解放される。誰もがそう信じて疑わなかった。

しかし、現実はどうだ。たしかにファイルの破損という致命的な事態は減った。複数人が同時にファイルを開くと、画面の右上に同僚のアイコンが並び。色とりどりのセル選択枠がリアルタイムに飛び交う。一見すると、近未来的なスマートな働き方に思える。

しかし、だが、少しでも複雑な操作をしようとすると、途端にクラウドの化けの皮が剥がれる。

Excel共有の競合、手動マージの絶望

自分が作業しやすいように列幅を広げると。他の全員の画面でも列幅が変わって悲鳴が上がる。特定のデータだけを見ようとフィルターをかけると。「他のユーザーの表示も変更しますか?」という警告が出る。それを無視して進めば、他人が入力中の行が突如として非表示になり。現場はパニックに陥る。

そして忘れた頃に、ステータスバーに現れるあの「紫色のアイコン」。

さらに、「競合が発生しました。変更内容をサーバーと結合できません」

ネットワークの遅延や、同じセルへの同時書き込みが発生した瞬間に現れる。現代の死神。クリックすると表示されるのは「別のコピーを保存」という無慈悲なボタン。結局のところ。手元には「受注管理システム(ExcelVBA + Access ADO連携)_デスクトップPC名.xlsx」という別名保存された無残な残骸が生成される。

Excelをデータベース代用する過ちと変わらぬ手作業

「これで未来の働き方になる」と信じていた。それがどうだ。ローカルに生成されたコピーファイルと、サーバー上の元ファイルを。2つの画面に並べて目視で比較している。セルの値を一つずつ確認しながら、手動でマージしていく。10年以上前と何が変わったのか。この虚無感は、ファイルが破損した時の絶望に次ぐ、静かな、しかし深い痛みだった。

まず、技術が変わっても、本質は全く変わっていなかった。競合という名のエラーに怯え。最後は人間の手で整合性を担保しなければならありません。

なぜこうなるのか。理由は一つしかない。「Excelという表計算ソフトを、データベースの代用品として使っているから」だ。本来、複数人での同時書き込みやトランザクション処理。厳密な排他制御を行うためのツールではない。その本質的な過ちに蓋をしたまま、クラウドという表面的なばんそうこうを貼っただけで。根の部分の出血はまったく止まっていなかったのです。

絶望の底からの完全自動化への狂気

3時間の作業が虚空に消えた日の帰り道。疲労で重い足を引きずりながら、私は暗い夜道を歩いていた。

次に、誰かがファイルを開いているかどうかで、自分の帰宅時間が決まる。他人の気まぐれな操作一つで、部署全員の努力が一瞬にして水の泡になる。こんな不条理なシステムの上で、あと何十年も働き続けるのか。

手作業によるマージ、目視によるデータチェック。そしていつ壊れるともしれない共有ファイルへの恐怖。これらを根絶するには。小手先の運用ルールやクラウドストレージへの移行では不十分です。

「データそのもの」と「人間が操作するインターフェース」を完全に分離しなければならない。人間が直接ファイルに触れるから競合が起きる。ならば、裏側に強固なデータベースを構築し。Excelは単なる「データを表示・入力するための窓」に格下げする。

一方で、VBAを使って背後のデータベースにこっそりと接続し。SQLで必要なデータだけを引っ張ってくる。書き込む時は一瞬でトランザクションを終わらせる。誰にも邪魔させず、誰の邪魔もしない、堅牢なシステム。

絶望からの完全自動化戦略

前夜に読みふけったAccessの本の知識が。ここに来て強烈なリアリティを持って蘇ってきた。ただの自己満足の勉強ではない。これは、私の、そして部署の生存戦略です。

あの「ファイルは使用中です」というダイアログへの憎悪。共有ブックが崩壊した瞬間の、心臓が凍りつくようなブラックアウトの記憶。

そのため、この強烈な「痛み」があったからこそ、私はVBAによるデータベース接続。そして後に続くPythonという強力な武器を用いた「完全自動化」への道へと。背中を蹴り飛ばされるように進まざるを得なかった。妥協を許さない、不労所得システム構築という狂気への第一歩は。この絶望の底から始まった。

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