VBAの限界を感じ、次の一手を模索する。業務自動化の情報を漁ると。必ずと言っていいほど二つのキーワードが視界に飛び込んでくる。Google Apps Script(GAS)とPython。プログラミング未経験の非エンジニアにとって、どちらを選ぶかは最初の高い壁だ。技術書をめくっても、機能の羅列ばかりで現場のリアルは見えてこない。求められているのは「どちらが優れているか」という机上の空論ではない。会社のガチガチのセキュリティ制限の中で。いかに自分の業務をラクにするかという泥臭い判断基準です。
Excel限界、自動化ツール選定の現実
Excelの保護や共有設定。VBAマクロ特有の「マクロ有効ブック」という怪しげな拡張子。10人以上に配布すれば、必ず一人は「マクロが無効で動きません」と連絡してくる。1.5ヶ月かけて開発したツールも、配布後のサポートで毎日数時間が溶けていく状況に。私は絶望していた。
まず、自動化のスコープがExcelの枠を超えた瞬間、選択を迫られる。ブラウザの操作、クラウドサービスとの連携、数十万件のデータ処理。やりたいことは山ほどあるのに、どのツールに投資すべきか見当がつかない。ネットの意見は真っ二つだ。「今はAI時代だから絶対Python一択」
「いや。非エンジニアなら環境構築不要のGASこそ正義」
どちらも一理ある。だが、自分の職場環境に当てはめると、すんなり腹落ちしない。会社のPCスペック、情シスの監視の目、周りの同僚のITリテラシー。現場ごとに前提条件が違いすぎるからだ。技術的なスペック比較の前に。まずは「自分を取り巻く環境」という生々しい現実と向き合う必要がある。
環境不要のGAS連携と時間制限
環境構築という概念が存在しない。GAS最大の武器はここにある。何かをインストールしたり、黒い画面でコマンドを叩いたりする苦行は一切不要だ。ブラウザを開き、Googleドライブからスクリプトエディタを立ち上げる。数秒後にはコードを書き始められる。

Google Workspaceを導入している企業なら。これほど強力なツールはない。Googleフォームの回答をトリガーにして、スプレッドシートに転記。そこからPDFの請求書を自動生成し、Gmailで顧客に一斉送信する。一見複雑なこの業務フローも、GASのネイティブな連携機能にかかれば。息をするように実装が可能だ。APIのキー設定やOAuth認証の煩わしさもほとんどない。クラウド上で動くため。自分のPCの電源を切っていても深夜にバッチ処理を走らせる設定すら標準装備されている。ただし、万能ではありません。
実行時間制限とタイムアウトの壁
次に、個人アカウントなら1スクリプトあたり最大6分。Google Workspace(Business以上のエディション)でも最大30分という「実行時間制限」が立ちふさがる。重たい処理には途端に牙を剥くタイムアウトの壁。数万行のデータ処理や複雑なループを回すと、あっさりと処理が中断される。あくまで「Googleのエコシステム内での軽作業」に特化したツールであることを忘れてはならありません。
ここで一度立ち止まって考えてみてください
Pythonや自動化スキルを体系的に習得して、ITエンジニアとしてのキャリアを切り開きたい方には「Enjoy Tech!(エンジョイテック)」が選択肢のひとつです。
Python、ローカルを制す万能傭兵
Pythonの強みは、あらゆるローカル作業を飲み込む圧倒的な懐の深さだ。GASがGoogleの世界の住人なら。Pythonは現実世界を無双する傭兵と言える。
PyPI(Python Package Index)には。現在40万件以上のライブラリが登録されている。Excelファイルの複雑な結合、Webサイトからのデータ抽出。PDFからのテキスト読み取りまで。望む機能は既に誰かが「部品」として公開しているレベルだ。処理速度も段違い。GASではブラウザがフリーズするような巨大なCSVデータも。Pythonのデータ分析ライブラリ(Pandas)を使えば瞬時に終わる。さらにAIとの親和性も高い。OpenAIやAnthropicのAPIを組み込み。処理の途中で自然言語による要約を挟むような高度なスクリプトも。豊富なドキュメントが背中を押してくれる。

一方で、ローカルの限界を突破する自由度。手元のPCを最強の自動化マシンに変えるポテンシャルを秘めている。
GASとPython 業務導入の視点
スペック上の比較は世の中に溢れかえっている。ここでは現場目線でジャッジを下す。スピード。思い立ってから最初の成果物が出るまではGASの圧勝だ。ログインして5分でプログラムが動く体験は、初心者の挫折率を劇的に下げる。難易度。文法自体はPythonの方が直感的で英語に近い。ただ、GASはJavaScriptベースなので。ゆくゆくWeb制作にも興味があるなら知識を流用しやすい。自由度。間違いなくPythonだ。PC上のファイルシステムやアプリ操作に直接介入できる。そして最も厄介なのが「会社での通りやすさ」である。すでにGoogle Workspaceを導入している企業なら。GASは追加の承認なしで使えるケースがほとんど。既存のインフラに乗っかるだけだからだ。Pythonはそうはいかない。ローカルPCへのインストールという、高く険しいハードルが待ち受けている。
情シス突破!ポータブルとexe化
「開発業務ではないため不要」「フリーソフトの実行環境は許可できない」。IT部門に冷たくあしらわれ。目の前にある3時間の転記作業をまた手作業で始める瞬間の絶望感。Ep7(別記事)でも触れたが、ここで諦めるかどうかが自動化の分水嶺になる。だが、抜け道はある。一つはポータブル環境の活用だ。WinPythonのような。インストール不要でフォルダから直接実行できるパッケージ。レジストリを汚さないため、会社のセキュリティポリシーをクリアできるケースがある。

そのため、もう一つがPyInstallerによる「exe化」だ。自宅の私物PCでPython環境を構築し、スクリプトを書く。完成したコードを実行ファイル(.exe)に変換し。それを会社のPCに持ち込んで動かす。これならPythonがインストールされていないPCでも動作する。未知のexeファイルを起動できるかはセキュリティソフトの機嫌次第だが。情シスとの水面下の駆け引き、このギリギリのラインの見極めこそが現場のリアルです。
AIと二刀流!言語の壁を越える自動化
「どちらを学ぶべきか」
この問い自体が、実は時代遅れになりつつある。今はClaude 3.5 Sonnetがいるからです。
これまで1ヶ月かかっていたVBAの学習やデバッグも。Claudeを相棒にすればわずか1日でプロトタイプが完成する。自然言語で「やりたいこと」を投げるだけで、的確なコードが返ってくる時代だ。変数、ループ、関数の定義。言語ごとの細かい文法の違いを人間が丸暗記する必要はなくなった。AIが勝手に翻訳してくれる。「この業務はGoogleフォームが起点だからGASで書こう」
「これは手元の重たいExcelデータをいじるからPythonの出番」
目的と環境に合わせて。最適なツールを持ち替える。AIを相棒に据えれば、非エンジニアでも言語の壁を越えた二刀流が容易に実現する。

しかし、どちらか一つに絞る必要はない。現場の制限を賢く回避し、最速で業務を自動化する。AIの力を借りて両方のいいとこ取りをする。それがこれからの自動化のスタンダードです。
関連リンクとチェックリスト
著者はこうして解決の糸口を見つけた
著者も同じ境遇から始まりました。独学でここまで自動化した道のりを参考にしてみてください。
学習サービスとアンケート
このスキルを活かしてさらに前へ進むなら
Pythonや自動化スキルを体系的に習得して、ITエンジニアとしてのキャリアを切り開きたい方には「Enjoy Tech!(エンジョイテック)」が選択肢のひとつです。

