手書きプロフィールシートをGoogleフォームとVBAで解体した話|人事情報の転記自動化・前編

面接が終わるたびに、担当者のデスクには一枚の紙が置かれます。

求職者が手書きで埋めたプロフィールシートです。氏名、住所、生年月日、緊急連絡先、口座番号——。それを、担当者は画面を見ながら一項目ずつ、基幹システムに打ち込んでいきます。

まず、私はかつて事業部門にいたので。この作業がどのようなものか体感として知っていました。そして管理部門に異動してから、改めて「これは何とかならないか」と感じました。

ミスは許されませんが、作業は地味で、集中力をじわじわと削っていきます。

この記事は。その「転記作業」をGoogleフォームとExcel VBAで解体した記録です。


日々雇用採用の苦悩

次に、私の会社では、建設現場で働く日々雇用の作業員やアルバイトを多数抱えています。

日々雇用という性格上、稼働できる人員は常に流動的です。そのため、複数の求人媒体・求人サイトに通年で求人広告を掲載し続けており。応募は途切れることなく入ってきます。

多い月には面接だけで30名ほど、応募に至っては倍近い数になります。しかも「面接予約をしたのに当日連絡なしで来ない」——いわゆるバックレが頻繁に発生する環境です。採用担当者の消耗は、転記作業だけの話ではありませんでした。

一方で、面接に来た求職者には、履歴書を持参してもらう代わりに。会社独自の「プロフィールシート」をその場で記入してもらっていました。氏名・住所・生年月日・緊急連絡先・口座情報など。雇用契約に必要な情報がひとつの紙に集約されたフォーマットです。

面接が終わると、このシートはそのまま担当者の手元に残ります。そして「転記作業」が始まります。

二重入力による転記ミスと膨大な対応時間

しかも転記先は1つではありませんでした。長年使い続けている基幹システムと。電子契約対応のクラウド人事管理システム——紙の雇用契約書を廃止するために新たに導入したシステムの2つです。1枚のシートに書かれた情報を、2つのシステムに別々に打ち込む必要がありました。


そのため、人事情報の入力で最も怖いのは、給与振込口座のミスです。

手作業入力の課題:度重なるミスと修正工数

基幹システムはデータを保存するだけで。口座番号が実在するかどうかまでは検証しません。そのため入力ミスがあっても、その場ではわかりません。問題が発覚するのは給与振込の直前——経理システムに連携したタイミングでエラーが出ます。振込日まで時間がない中で、本人に急いで連絡を取り、正しい口座番号を確認して。修正して、再処理します。この一連の対応が、毎月どこかで発生していました。

もうひとつの問題が、手書き文字の読み取りです。住所は身分証明書と照合できるのでまだ救いがありますが、メールアドレスは別です。手書きのメールアドレスほど解読困難なものはありません。1lI0O-_——活字で見れば一瞬で判別できる文字が。手書きになると判別不能になります。入力して送信してみて初めて「届かない」とわかり。そこから本人に再確認の連絡を入れます。そのひと手間が、面接のたびに発生していました。

転記作業 月6.5時間削減

しかし、そして面接が終わったからといって。担当者にゆっくり転記する余裕があるとは限りません。「早く終わらせなければ」という焦りの中での入力作業は。ミスのリスクをさらに高めます。1件あたり約15分、月30名で合計450分(約7.5時間)が。この地味な作業に消えていました。

Before:転記1件 約15分 × 月30件 = 月約450分(7.5時間)
After :転記1件 約1〜2分 × 月30件 = 月約60分(1時間)
削減  :月約390分(6.5時間)

Googleフォーム:手書き問題解決とデータ管理

手書きのプロフィールシートがもたらす問題は多岐にわたります。最も根深いのは、その文字が常に担当者の心をざわつかせる点ではないでしょうか。達筆な人は稀で、たいていは判読に時間がかかり、時に誤読を引き起こします。この無言のプレッシャーが、手入力作業のストレスを増幅させます。特に緊急性の高い情報や正確性が求められる口座番号、メールアドレスなどは。担当者にとって神経をすり減らす作業の連続でした。

そこへ現れるのが、Googleフォームです。このツールを使えば。ウェブブラウザさえあれば誰でも簡単にアンケートや応募フォームを作成できます。専門的な知識は一切いりません。画面の指示に従い。質問項目を入力していくだけでプロフェッショナルな見た目のフォームが完成します。これはまさに。非エンジニアである総務・経理・人事担当者のための救世主といえるでしょう。

Googleフォームによる入力・データ管理の効率化

さらに、Googleフォームを導入すれば、まず手書き文字を解読する手間がなくなります。求職者は自身のスマートフォンやパソコンから。時間や場所を選ばずにフォームへアクセスし、必要事項を入力できます。彼らにとっても、慣れない環境でボールペンを握り。丁寧な文字を書くストレスから解放されるメリットは大きいです。

また、Googleフォームには「必須項目」を設定する機能があります。これにより、入力漏れを防げます。氏名や生年月日。口座番号といった重要情報が未入力のまま提出される事態は起こりません。さらに。入力する情報の種類に応じて「数字のみ」「メールアドレス形式」などの「入力規則」を適用できるため。誤った形式での入力を自動的に弾くことも可能です。例えば、口座番号の欄に「abc」と入力すればエラーが表示され。

正しい数字の入力を促します。この仕組みが、給与振込口座やメールアドレスの入力ミスを根本的に減らしてくれます。間違いは入力段階で発見され、修正されるからです。

フォーム回答のデジタル台帳

フォームの回答データは、Googleスプレッドシートに自動的に蓄積されます。これは、まさにデジタルの「プロフィールシート台帳」と呼べるものでしょう。個別の紙を一枚一枚ファイリングしたり。手入力したデータを検索したりする手間は不要となります。必要な情報を探す際も、スプレッドシートの検索機能を使えば一瞬で見つけられます。紙の山に埋もれることも、誤って破棄してしまう心配もなくなります。

このデータの一元管理は、情報管理の効率化だけでなく。セキュリティ面においても大きなアドバンテージとなります。

なぜ毎回手入力が発生していたのかに関する解説図(日本語UI)

Excel VBAでデータ入力自動化

まず、Googleフォームで収集したデータがGoogleスプレッドシートに整理されて蓄積された状態は。情報転記自動化の第一歩です。しかし。既存の基幹システムや一部のクラウド人事管理システムがGoogleスプレッドシートと直接連携できない場合もあります。ここで、多くの日本企業で利用されているExcelが重要な役割を果たします。

まず、Googleスプレッドシートに蓄積されたデータをExcelに取り込みます。これは手動でコピー&ペーストすることも可能ですが。VBA(Visual Basic for Applications)を使えば。この取り込み作業すら自動化できます。VBAはExcelに標準搭載されているプログラミング言語であり。Excelの様々な操作を自動で行わせるための強力なツールです。

Googleスプレッドシートの特定の範囲を自動で取得し。Excelシートに貼り付けるといった一連の動作をVBAスクリプトとして記述すれば。ボタン一つで最新のデータをExcelに反映させられます。

💡 ここで一度立ち止まって考えてみてください

PythonやExcel自動化スキルを持ったまま

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VBAによるシステム連携とデータ転記の自動化

Excelにデータを取り込んだ後は、VBAの出番です。多くの企業では長年使い続けた基幹システムがあり。そのシステムはしばしば外部からのデータ連携機能(API)を備えていません。あるいは、API連携があったとしても。それを活用するには専門的な知識が必要となります。ここでVBAが光を放ちます。VBAは、あたかも人間がパソコンを操作しているかのように。ソフトウェアの画面操作を自動化できるのです。

次に、具体的には、VBAで基幹システムのログイン画面を開き。ユーザーIDとパスワードを入力してログインし、データ入力画面を開きます。そして、Excelに取り込んだプロフィールシートの各項目を。基幹システムの入力フォームに一つずつ自動で打ち込んでいきます。その後、保存ボタンをクリックし、次のデータ処理へと進みます。この一連の動作は、人間が行えば15分かかっていた作業ですが。

VBAを使えば秒単位で完結します。

GoogleフォームとVBAによる業務自動化

これは「UI自動化」や「RPA(Robotic Process Automation)」と呼ばれる技術の一種です。VBAはプログラミング初心者でも学習しやすく、Excelのマクロ記録機能を使えば。自分の行った操作を自動でVBAコードとして生成させることもできます。そのため、非エンジニアであっても。この自動化の仕組みを自力で構築するハードルは決して高くありません。

クラウド人事管理システムへの連携も同様です。API連携が可能であればVBAから直接データを送信できますし、それが難しければ。VBAでシステムが読み込める形式のCSVファイルなどを自動生成し。それをアップロードする流れも構築できます。このように、GoogleフォームとExcel VBAを組み合わせることで。データの収集から整形。

そして複数のシステムへの転記までを一貫して自動化する全体像が見えてきます。これにより、手作業に起因するミスは激減し、転記作業に奪われていた貴重な時間は。担当者が本来注力すべき業務のために解放されるはずです。

Googleフォーム活用で業務効率と精度向上

一方で、このように、GoogleフォームとExcel VBAを組み合わせることで。データの収集から整形、そして既存システムへの転記までを。ほぼ自動で完結させる仕組みを構築できたのです。この自動化がもたらした効果は、私が想像していたよりもはるかに大きなものでした。

Googleフォームで作業効率向上とデータ自動化

まず、何よりも実感したのは、転記作業にかかる時間の劇的な削減です。以前は1件あたり約15分かかっていた作業が。自動化後は1〜2分で済むようになりました。月30件の面接があった場合、合計で月7.5時間も費やしていた作業が。わずか1時間で完了するようになったのです。この削減された6.5時間は、私たち事務職にとって。本当に

彼らにとっても、慣れない環境でボールペンを握り。丁寧に記入するプレッシャーからも解放されます。

自身のスマートフォンやパソコンから、落ち着いて自宅で入力できるため。誤字脱字の心配も減りました。特にメールアドレスや口座番号といった、一文字でも間違えると大変なことになる情報は。求職者自身が確認しながら入力できる方が、私たち担当者にとっても安心感があります。手書き文字の判読に時間を費やすこともなくなり。入力された情報は最初からデジタルデータとして手元に届くのですから。これはまさに一石二鳥の解決策だと感じました。

面接に来た求職者には、履歴書を持参してもらう代わりにに関する解説図(日本語UI)

フォームとスプレッドシート、VBAの始まり

Googleフォームの作成は。プログラミングの知識が一切ない私でも驚くほど簡単でした。既存のプロフィールシートの項目をそのままフォームに落とし込んでいくだけで。あっという間に完成したのです。氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、そして銀行口座情報。入力形式も、テキスト、プルダウン、ラジオボタンなど。項目に合わせて自由に選択できました。

特に、口座番号は数字のみの入力に制限をかけたり。メールアドレスは正しい形式でなければエラーが出るように設定したりと。入力ミスを未然に防ぐ工夫も簡単に盛り込めたのは大きな収穫でした。最初は「新しいことを始めるのは大変そう」という社内の声もありましたが。「まずは一度使ってみませんか」と提案し、テスト運用から始めることにしました。

VBAとの出会い、自動化への第一歩

そのため、

フォームに入力されたデータは。Googleスプレッドシートに自動的に集約されます。この仕組みを初めて目の当たりにした時は、感動で胸がいっぱいになりました。これまで紙のシートを一枚一枚見ながら手入力していた情報が。まるで魔法のように整然と並んでいるのです。これで手書き文字の判読という、あの神経をすり減らす作業から解放されたと思うと。本当にホッとしました。

データがデジタル化されたことで、必要な情報を検索したり。並べ替えたりするのも格段に楽になりました。しかし、この時点ではまだ。基幹システムやクラウド人事管理システムへの転記は手作業が残っていました。スプレッドシートから必要な情報をコピーし。それぞれのシステムに貼り付けるという作業です。手書きの紙から入力するよりははるかに楽になりましたが。それでも月に30名分のコピペ作業は、それなりの時間と集中力を要しました。

VBAで業務効率化と精神的解放

「このコピペ作業も。何か自動化する方法はないのだろうか」——そんな漠然とした疑問が。私の頭の中に芽生え始めました。プログラミングなんて自分には縁のない世界だと思っていましたが、もしかしたら。この地味な作業を解決するヒントがそこにあるのかもしれない、と。インターネットで「Excel 自動化」や「データ連携 マクロ」といったキーワードで検索するうちに。「Excel VBA」という言葉を初めて知りました。

最初は専門用語の羅列に戸惑いましたが、「Excelでできることなら。私にも少しは理解できるかも」という淡い期待を抱いたのを覚えています。本を読んだり、YouTubeの解説動画を見たりしながら。まずはスプレッドシートからExcelにデータをインポートする簡単なマクロを組むところから始めてみました。初めてマクロが意図した通りに動いた時の喜びは、今でも鮮明に覚えています。まさに、プログラミングの世界への第一歩を踏み出した瞬間でした。

VBAマクロでデータ整形、転記業務の劇的改善

その後、VBAの学習を進めながら。GoogleスプレッドシートからExcelに取り込んだデータを。さらに基幹システムやクラウド人事管理システムに転記しやすい形に整形するマクロを作成しました。具体的には、必要な項目だけを抽出し。システムごとに異なる入力フォーマットに合わせて並べ替えたり。不要な記号を削除したりする処理です。これにより、最終的なシステムへの入力作業は。整形されたデータをまとめてコピー&ペーストするだけで済むようになりました。

完全な自動入力とまではいきませんが、これまで1件あたり約15分かかっていた作業が。わずか1〜2分に短縮されたのです。月にして約6.5時間の削減は、他の業務に充てられる貴重な時間となりました。何よりも、手作業による入力ミスが劇的に減り、給与振込エラーの対応に追われることも。手書きのメールアドレス解読に悩むこともなくなったのが、精神的に大きな解放でした。プログラミングの「プ」の字も知らなかった私でも、一歩ずつ進めることで。こんなにも業務を改善できるのだと実感しています。

何が辛かったのかに関する解説図(日本語UI)

自動化の次の一歩

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