残業特別条項の申請確認

毎月、誰が申請していないかを確認するだけで1〜2時間ほど費やしていました。
月末が近づくと、必ずやってくる作業があります。特別条項の発動申請の確認です。
まず、私の会社では、45時間を超える残業が発生しそうな場合。事前に従業員代表の承認を得るというルールを定めています。これは36協定の特別条項に基づく運用で、「例外的に長時間残業を認める代わりに。事前にチェックを入れる」という仕組みです。
同じように特別条項の申請管理を手作業でこなしていらっしゃる労務・総務担当の方にとって。この記事が少しでも参考になれば幸いです。
空振り確認の徒労ゼロ

「ワークフローを確認したのに申請が来ない」という状況が。想像以上に頻繁に起きていました。1日に何度もシステムを開いては空振りし。「申請が上がってこない原因は何だろう」と考える時間ばかりが増えていくのです。開いてはない、また開いてはない、が続く徒労感は。じわじわと体力を削っていきました。
次に、申請があれば、次の手順を踏みます。
- マウスでファイルをクリックしてダウンロード
- 所定のフォルダに保存
- 集計用Excelを開く
- VLOOKUPでデータを引っ張ってくる
- 保存
これを10拠点分、繰り返します。
純粋な作業時間だけなら1〜2時間かもしれませんが。「覗きに行ったらなかった」という空振りの往復コストは、時間では測れません。これがずっと続いていたのです。
Before:毎月1〜2時間+空振りのストレス
After:確認作業ゼロ(申請は自動で揃う)
生成AIで非エンジニアのプログラミング習得

一方で、毎月のルーティン作業の辛さを経て、生成AIという新しい光を見つけたものの。次に待ち構えていたのは「どうやってそれを形にするか」という問いでした。労務の知識はあっても、プログラミング経験はほぼゼロです。しかし、この壁を乗り越えることができたのは。生成AIの特性と非エンジニアならではのアプローチがあったからだと感じています。
生成AIとの対話によるプログラミング学習
まず、生成AIとの最初の対話は、まるで新しい同僚に相談するようでした。「特別条項の申請状況を自動でチェックしたい。申請書のデータはCSV形式で、従業員マスターと突合して。未申請者を洗い出してほしい」。漠然とした要件を投げかけると。AIはすぐにPythonやGoogle Apps Script(GAS)を使った具体的なコードの断片を提示してくれました。
ここが従来のプログラミング学習と大きく異なる点です。最初から完璧なコードは出なくても、要件を伝えれば。最低限動く骨格を生成してくれます。まるで絵画の素描を描いてくれるかのように。漠然としたイメージが具体的な形を取り始める感覚でした。
AI対話でプログラミング習得
提示されたコードを前に、最初は「これは何だ?」という疑問もありましたが。そこで立ち止まりませんでした。分からない部分は。またAIに「このコードは何をしているのか」「このエラーは何が原因か」と質問を繰り返したのです。生成AIは単にコードを生成するだけでなく。そのコードの解説やデバッグのアドバイスまでしてくれます。まるで専属のプログラミング教師がいるような状況でした。
この対話を通して、Pythonの基本的な構文や。GASがGoogle Workspaceのアプリケーションをどう操作するのかといった知識が。少しずつ身についていったのです。
非エンジニアのAI活用:コード修正で業務自動化、…
そのため、特に役立ったのが「生成AIプログラミングの教科書『大蔵~TAIZO~」と銘打たれた。非エンジニア向けの解説書でした。AIが生成したコードの行間を読み解き。それがどのような意図で書かれているのかを理解するのに大いに貢献してくれました。AIが提示するコードはあくまで汎用的なものであり。自社の特定のワークフローやデータ形式に合わせるには。コードを自分で修正する必要があります。
この修正作業こそが、真の試行錯誤の始まりでした。
AIで解決するデータ課題と労務の自動化
例えば、CSVファイルの特定の列から従業員番号を抽出する際。AIが生成したコードではうまく認識されないことがありました。これは、ワークフローシステムから出力されるCSVが。見た目には普通の数字に見えても、内部的には文字列として扱われていたり。余分なスペースが含まれていたりする「データの汚れ」が原因でした。この問題に直面した時、AIに「CSVのこの列のデータがうまく読み込めない。
原因として何が考えられるか?」と質問しました。すると、AIは文字列型として読み込む、前後の空白を除去する(trim)。といった具体的な解決策を提示してくれました。それを既存のコードに組み込み、修正を繰り返すことで。プログラミングスキルも着実に向上していきました。
生成AIによる確認作業ゼロ化
労務ツールとしての仕組みは。まずワークフローシステムから日々出力される特別条項申請のCSVファイルを自動で取得する部分から始まります。GASを使えば、Googleドライブに保存されたファイルを定期的にチェックし。新しいファイルがあれば自動で処理を開始するよう設定できます。次に、PythonスクリプトがそのCSVファイルを読み込み。そこに記載されている従業員番号と。
事前に登録しておいた全従業員マスターのデータとを照合します。ここでAIが作成したVLOOKUP関数のようなロジックが。高速かつ正確に未申請者を特定してくれるのです。
AIで確認作業ゼロ、非エンジニアのツール自作
しかし、そして。最も重要なのが「なぜこのツールで確認作業がほぼゼロになるのか」という点です。従来のルーティンでは、担当者がシステムにアクセスし、ファイルを探し。ダウンロードし。Excelで手作業で集計するという一連の作業が人の手で行われていました。当然、人が行う作業には時間と手間がかかり、確認漏れやミス。そして「まだ来ていないか」という精神的なストレスが伴います。
しかし、生成AIが作成したツールは。この一連の作業をバックグラウンドで自動的に実行してくれます。スクリプトは指定された時間に自動起動し、新しい申請ファイルがないか監視し。あればダウンロードして処理を進め、未申請者リストを自動で作成し。担当者へメールやSlackで通知します。人間の介在が不要になるため、確認作業がゼロになるのです。
このプロセスを通じて、非エンジニアでも「何をしたいのか」という要件を明確にすれば。生成AIは「どうすればよいか」という技術的な解決策を提供してくれることを痛感しました。プログラミングの専門知識がなくても、生成AIとの対話を通して。実用的なツールを自作できる時代が本当に到来したのだと感じています。
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AI労務改革:時間創出、ゆとり、戦略的価値

毎月1〜2時間、それに加えて「空振り」のストレスまで消滅したことで。私の日常は劇的に変化しました。これまで特別条項申請の確認と集計に費やしていた時間と精神的エネルギーが解放され。その余白が個人だけでなく、組織全体にも思わぬ恩恵をもたらしたのです。
まず、個人レベルで最も顕著な変化は。月末に訪れるあの重苦しいプレッシャーからの解放でした。月末に近づくにつれて申請状況が気になり。何度もワークフローシステムを確認してしまう。「誰がまだだっけ」「あの人は大丈夫かな」といった心配が。頭の片隅に常にこびりついていました。それが、AIツール導入後はどうなったか。月末だろうが月初だろうが、申請状況は常に最新に保たれ。
未申請者がいれば自動で通知が来るようになりました。私はもはやその進捗を追う必要がなくなり、精神的な余裕が生まれ。業務への集中力も格段に向上しました。
労務部門の戦略的進化、DX推進と企業価値向上
そして、浮いた時間は単なる「休憩時間」になったわけではありません。むしろ、本来の労務担当者が時間を割くべき。より付加価値の高い業務に振り向けられるようになったのです。例えば、従業員からの相談対応に。これまで以上に時間をかけて丁寧に応じられるようになりました。キャリアの悩み、ハラスメントの相談、育児休業からの復帰支援など。一人ひとりに寄り添う時間を確保することは、従業員満足度の向上に直結します。
また、法改正への対応や就業規則の見直し、新しい研修制度の企画など。戦略的な労務業務にも着手できるようになりました。これまで「時間がないから」と後回しにしていた重要事項に。腰を据えて取り組むことができます。これにより、労務部門は単なる事務処理を行う部署から。会社全体の生産性向上や従業員のエンゲージメントを高めるための戦略パートナーへと。その役割を進化させ始めたと感じています。
自動化による全社DX推進と新たな働き方
さらに、組織全体への影響も大きなものがありました。まず、特別条項申請の管理が自動化されたことで。ヒューマンエラーが限りなくゼロに近づきました。人間が手作業で行う集計には、どうしても見落としや入力ミスがつきまといます。それが原因で法的なリスクを抱えたり。従業員からの信頼を失ったりする可能性もゼロではありませんでした。AIツールは、設定されたルールに従い、高速かつ正確にデータを処理するため。
申請漏れによる労働基準法違反のリスクを大幅に低減し。コンプライアンス体制を強化することに貢献しました。これは、企業価値の向上にもつながる重要な側面です。
生成AIが広げるDXとキャリア
さらに、この成功体験は、社内の他の部署にも波及効果をもたらしました。「労務部門でも生成AIで業務改善ができた」という事実は。非エンジニアである総務や経理。人事の社員たちに「自分たちの業務にも応用できるのではないか」という希望と具体的なイメージを与えました。これまで「ITは専門家任せ」という意識が強かった部署でも、生成AIを活用すれば。自分たちの手で業務を効率化できるという認識が広がり始めたのです。
結果として。社内でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の小さな火種となり。組織全体の生産性向上への意識改革を促すことになりました。
AIで現場発の業務改革
この経験は、私自身のキャリアパスにも新たな選択肢をもたらしました。これまで「業務効率化」と言えば。既存システムの改修や新たなITツールの導入検討が主なアプローチであり。それにはIT部門との連携や高額な費用が伴うことが多かったです。しかし、生成AIを使って自分自身でツールを開発できるようになったことで。私は単なるシステムのユーザーではなく、業務改善の「担い手」となり得ました。
自分たちの業務を知り尽くしている当事者が。最新のテクノロジーを活用して課題解決に乗り出す。この新しい働き方が、今後ますます多くの会社員に広がっていくことでしょう。
まず、自動化で生まれた時間は、単なる空白ではなく。新たな価値を創造するための「余白」でした。その余白を活用し、労務担当者はより戦略的で人間味あふれる業務にシフトし。組織はより強く、より柔軟な体質へと変貌を遂げ始めたのだと思います。特別条項申請の確認作業がゼロになったことは、その大きな一歩に過ぎません。
AIとPythonで業務自動化、デバッグでスキル向上
VLOOKUP関数では複数のシートを行き来していましたが。Pythonスクリプトでは従業員マスターのCSVファイルと申請データのCSVファイルを同時に読み込み。キーとなる従業員番号で照合する処理を組んでもらいました。具体的には、申請データに存在する従業員番号を、マスターデータから検索し。見つからなかった従業員番号を「未申請者」としてリストアップするロジックです。
この照合処理は、データフレームというPythonの機能を使うことで。Excelで手作業でVLOOKUPを繰り返すよりもはるかに高速に。そして正確に実行できるようになりました。以前は目視での確認も必要でしたが。今はスクリプトが自動で正確なリストを作成してくれるので、安心して任せています。
AIで業務自動化とプログラミング学習
未申請者リストが完成したら、次のステップは関係者への通知です。ここも手作業でメールを作成したり、チャットツールに投稿したりしていたのですが。GASと連携させることで。リストが確定した時点で自動的に特定のSlackチャンネルへ通知が飛ぶように設定しました。未申請者の一覧と、申請を促すメッセージが自動生成される仕組みです。これにより、私がリストを確認して手動で連絡する手間がなくなり。
関係者もタイムリーに情報を把握できるようになりました。特に、月末の忙しい時期に、この連絡作業から解放されたことは。精神的な負担を大きく軽減してくれたと感じています。
AI対話学習:非エンジニアの業務改善
次に、もちろん、最初からすべてがスムーズに進んだわけではありません。特に苦労したのは、データ形式の不一致や、意図しないエラーの発生でした。例えば、従業員番号の列に半角スペースが混じっていたり。全角数字が使われていたりすると。AIが生成したコードでもうまく照合できないことがありました。そのたびに、「CSVのこの列にスペースが入っている場合。どう処理すればいいですか?」とか。
「このエラーメッセージは何を意味していますか?」と。まるで隣に座っている同僚に聞くようにAIに質問を投げかけました。すると、AIは「.strip()」で空白を除去したり。「.astype(str)」で型を変換したりといった具体的なコード例を提示してくれるのです。このデバッグの繰り返しが、私自身のプログラミング知識を着実に増やしてくれました。一つ一つのエラーを解決していくたびに、「なるほど。
こういうことだったのか」と納得し、理解が深まっていくのが面白かったです。
生成AIが変える学習と働き方
この経験を通して感じたのは、非エンジニアでも生成AIを使えば。プログラミングは決して手の届かないものではないということです。完璧なコードを最初から書こうとせず、まずは動くものを作ってみる。そして、エラーが出たら、そのエラーメッセージをそのままAIに貼り付けて質問する。この「対話」を続けることが、最も効率的な学習方法だと実感しました。
AIは決して私を責めることなく、常に最適な解決策を提案し続けてくれました。まるで、私がプログラミングの学習コーチと二人三脚で進んでいるような感覚でした。このプロセスが、私のような完全文系の事務職でも。実際に業務で使えるツールを作り上げることができた大きな要因だと考えています。もし私と同じようにプログラミングに苦手意識がある方がいらっしゃれば。ぜひ生成AIとの対話から始めてみてほしいです。
AI導入で作業ゼロ、時間創出と質向上
結果として、毎月1〜2時間かかっていた未申請者の確認作業と。それに伴う精神的なストレスは、完全にゼロになりました。今は、月末になると自動でSlackに通知が届き、それを見て「ああ。今月も滞りなく処理されたな」と確認するだけで済んでいます。この生まれた時間は、本来集中すべき業務、例えば従業員からの相談対応や。より戦略的な人事企画の検討に充てられるようになりました。私一人の作業効率が上がっただけでなく。組織全体の業務の質向上にも貢献できたと感じています。生成AIとの出会いは、私のキャリアだけでなく。会社の働き方そのものにも良い変化をもたらしてくれました。これからも、この新しいスキルを活かして。もっと多くの「困った」を「できた」に変えていきたいと考えています。
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