前任者の方が残したエクセルのボタン。押せば動くのです。ただ、中身は誰も知らないという状況がよくありますよね。異動や退職のたびに「触るな危険」のブラックボックスが社内に増えていくように感じます。VBE(Visual Basic Editor)を開いてみても、英語の羅列に圧倒されてそっと閉じてしまう。そんな経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。実は、誰も読めないようなVBAコードでさえ、今は簡単に読めます。AIに依頼すれば、数分で解読が終わるようになりました。
今回は、ClaudeやChatGPTで、古いマクロを解読して文書にしてみました。その際のリアルな手順をまとめます。
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マクロ解読の悩み、AIが解決
引き継ぎの席で、謎のマクロに直面することがよくありました。ドキュメントは存在しません。作成したご本人でさえ、当時の記憶が曖昧なことも珍しくありません。コードの解読に何日も費やした結果、結局は手作業に戻す。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以前、鳴り物入りで導入したマクロが現場で全く使われなかったという経験がありました。これと同じような構造が、ここにもあるように感じます。中身がブラックボックス化したツールは、エラーが出た瞬間に使われなくなります。それが運命なのかもしれません。担当者が変わるたびにゼロから解読するのは、どう考えても時間の無駄になってしまいますよね。
手順は拍子抜けするほどシンプルでした。VBEを開き、対象のモジュールに書かれているコードをすべて選択してコピーします。そのままClaudeやChatGPTのチャット欄に貼り付けるだけです。
特に凝ったプロンプトは必要ないようです。例えば、以下のように依頼してみてください。
AIのVBAコード読解と日本語解説
「このVBAコードが何をしているか、処理の流れを日本語で説明してください」
本当にたった一行の指示で、難解なコードが分かりやすい日本語の解説に変換されました。変数名が「a」や「tmp」のようになっていても、問題ありません。AIが文脈から意図を推測して、補足説明までしてくれるのには驚かされます。
聖域マクロの課題、AIが解決
既存のマクロが、皆さんの業務をどれほど支えているでしょうか。「誰が作ったのか分からない」「動作が不安定」「やたらと処理が遅い」といった漠然とした不満を抱えている方も少なくないはずです。引き継ぎのたびに、動いているのはわかるものの誰も触れない「聖域」と化していきます。その奥に潜む問題が放置されているケースは、珍しくないように思います。
AIはただコードを読み解くだけではありません。そのマクロが抱える問題を特定し、さらに良くするための改善案まで提示してくれるのです。AIは単なるコードの翻訳機ではありません。私たちの業務を効率化し、未来へ繋ぐビジネスパートナーにもなり得ると思います。

「このVBA、なんとなく処理が遅い気がするのです。ただ、原因と改善策を教えてもらえませんか?」
「このマクロ、たまにエラーで止まるんです。どんなリスクがあるか、どう対処すればいいか教えてほしいです。」
AIによるVBAコード改善の仕組み
VBAコードを貼り付け、このように問いかけるだけです。すると、AIが熟練のプログラマーのようにマクロを詳細に分析し始めます。単にコメントアウトされたコードを解説するだけでは終わりません。なぜ遅いのか、どこに問題があるのか。具体的にどうすれば改善できるのかまで、明確な答えを提示してくれました。
では、なぜAIはそこまで高度な「改善提案」ができるのでしょうか。その仕組みは、AIが学習してきた膨大な情報量にあるようです。AIは、世界中のオープンソースコード、プログラミングの教科書、技術フォーラムでの議論、バグ報告とその修正履歴など、ありとあらゆるコードとそれに付随するベストプラクティス、アンチパターン(避けるべき書き方)を学習しています。私たちのVBAコードを受け取ると、AIはそれを数多の学習済みデータと比較・照合します。「このコードの記述は非効率ではないか」「この処理はより高速な代替手段があるのではないか」といったパターン認識を瞬時に行っているようです。
ベテランAIの高速化提案
AIは、長年の経験を積んだベテランエンジニアのように振る舞います。バグの温床になりがちな記述や、処理が遅くなる原因を見つけ出してくれるのです。例えば、Excelシートへの直接的なセル書き込みを繰り返す処理は、一般的に遅いとされています。AIはこれを認識しています。そこで、配列にデータを格納してから一括で書き出す方法を提案してくれます。シートへの読み書き(I/O処理)は、メモリ上の操作よりはるかに時間がかかります。配列を使えば、そのボトルネックを回避できるのです。
さらに、Application.ScreenUpdating = False といった画面更新の一時停止や、Application.DisplayAlerts = False といった警告表示の抑制など、処理高速化の「お約束」とも言えるテクニックも具体的に提示してくれます。これらは、人間の目には見えないExcel内部の再描画や計算処理を一時的に止めます。そうすることで、マクロ本来の処理に集中させるための方法です。
現場の業務改善:マクロ高速化とエラー対策
総務、経理、人事といった部署の現場で役立ちそうな具体的な改善案は多岐にわたります。例えば、マクロの処理速度改善は、日々の定型業務時間を大幅に短縮し、残業時間の削減に直結します。毎朝数十分かかっていたデータ集計が、数分で終わるとしましょう。その分の時間を、より戦略的な業務に充てられるようになります。また、エラー耐性の向上は、マクロの停止による業務中断のリスクを減らし、担当者のストレスを軽減する効果も期待できます。
ファイルが存在しない場合や、シート名が想定と異なる場合など、予期せぬ状況に備えたエラーハンドリング(On Error GoTo ErrHandlerなど)を提案し、マクロが途中で止まらずどこでエラーが発生したかをログに残すといった賢い振る舞いを推奨してくれます。これにより、「また止まった」「原因が分からない」といった混乱から解放されるかもしれません。

AIのマクロ診断と改善提案
さらに、可読性や保守性の向上もAIは重視しているようです。例えば、意味の分かりにくい「a」や「tmp」といった変数名を「rowCount」や「targetSheet」のように、その役割が明確にわかる名前に変更することを提案してくれます。あるいは、コード中に直接書かれた「100」や「”C:\データ\”」のようなマジックナンバー(意味不明な定数)を、定数として定義し直すよう促してくれます。これで、後から読んだ人が「この数字は何だろう」と悩む時間がなくなります。引き継ぎの際の手間も、大きく削減できるのではないでしょうか。
まるで、自分のマクロに「健康診断」を受けさせるようなものです。その診断結果に基づいて、「治療計画」を立ててもらう感覚でした。
AI提案、文脈理解の重要性
しかし、AIの提案をそのまま鵜呑みにするのは、少し注意が必要かもしれません。AIはあくまでコードの論理的な構造や一般的な慣習に基づいて提案をするに過ぎません。AIには、コードの外にある「文脈」を理解するのが難しいようです。具体的には、会社の独自のルールや業務プロセスの制約です。利用者のITリテラシーや、セキュリティポリシーも同じです。例えば、AIは処理速度を最大限に高めるコードを提案するかもしれません。しかし、部署によっては「誰にでも分かりやすいシンプルなコード」が求められます。処理速度を多少犠牲にしても良い、と判断される場合もあるのです。
実際には、複雑なエラーハンドリングは確かに堅牢です。ただ、それをメンテナンスできる人材がいなければ、かえってブラックボックス化を進めてしまう可能性もあります。
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PythonやExcel自動化スキルを活かして、ITエンジニアとして転職をお考えの方には、「EBAエデュケーション」という選択肢があるようです。企業が求めるエンジニア像に合わせたカリキュラムで、実務に直結するスキルを習得できるとのことです。
AIでマクロを使いこなす
AIが提示した改善案は、あくまで「たたき台」であると認識しておくと良いと思います。その提案を基に、自分自身の業務知識と照らし合わせ、「本当にこの改善は必要なのか?」「改修にかかる時間やコストに見合うメリットがあるか?」といった問いかけを繰り返し、最終的な判断を下すのは私たち人間の役割です。AIは強力なアシスタントです。ただ、最終的な責任は常に私たち人間にあります。
これまでブラックボックスだったマクロが、AIの力によって「議論の対象」になります。その結果、マクロの引き継ぎがスムーズになるだけでなく、業務プロセスの本質的な改善へと繋がるきっかけも生まれるかもしれません。IT部門に相談する前に、一次スクリーニングとしてAIを活用しましょう。そうすれば、具体的な問題点と改善案を提示でき、より建設的な議論に持ち込めます。マクロに「振り回される」立場から、「マクロを使いこなす」立場へと変わるための強力なツールが、今、私たちの目の前にあるのです。
AIが変えるマクロ認識と業務効率
AIの力を借りて、これまで「触るな危険」のレッテルが貼られていたマクロが、少しずつ「理解できる」ものへと変わり始めました。一番大きな変化は、精神的な負担が減ったことだと感じています。以前は、業務中にマクロがエラーで止まるたびに、無力感に襲われていました。まるで時が止まったかのように、どうすることもできなかったのです。しかし、今では「AIに聞けば、何かヒントが得られるかもしれない」という安心感が、心の片隅にあるのです。
AIによる引き継ぎ・IT連携の円滑化
例えば、新しい担当者への引き継ぎの場面です。以前は、古いマクロについて説明する際、「これは前任者からこう言われたので」という曖昧な説明しかできませんでした。しかし、AIにコードを解説してもらい、その内容をドキュメントとして残すことで、自信を持って「このマクロは、こういう目的でこのような処理をしています」と説明できるようになりました。さらに、AIが提示してくれた改善案も添えて、「将来的にはこのように改善できる可能性もあります」と未来を見据えた引き継ぎができるようになったのは、大きな進歩だと感じています。

AI通訳でIT連携円滑化
また、IT部門との連携も、以前よりスムーズになりました。これまでは漠然と「このマクロが遅い」としか伝えられず、具体的な問題点を説明できずにいました。しかし、AIに分析してもらうことで、「このループ処理がボトルネックになっているようです」「特定のシートが存在しない場合にエラーが発生しているようです」といった具体的な情報を持って相談できるようになりました。これにより、IT部門の方も問題の所在を把握しやすくなりました。その結果、より建設的な議論ができるようになったと感じています。まるで、私たちがプログラミングの専門用語を理解していなくても、AIが通訳をしてくれるような感覚でした。
AIと進む、知識ゼロからのマクロ改善
そして、何よりも驚いたことがあります。知識ゼロの事務職の私でも、AIの力を借りてマクロの改善に一歩踏み出せたのです。AIが提案してくれた改善案を元に、VBEで実際にコードを修正してみることもありました。もちろん、いきなり複雑な変更を加えるのは怖かったです。そこで、まずはコメントの追加や変数名の変更といった簡単な修正から始めました。AIの解説と改善案が手元にあることで、「この部分なら触っても大丈夫そうだ」という自信が少しずつ芽生えてきたのです。この小さな成功体験が、もっとマクロを理解したい、もっと業務を効率化したいという意欲に繋がっていきました。
AIとの協働:VBA習得と限界理解
最初は「AIって難しそう」という先入観がありましたが、実際に使ってみると驚くほど身近な存在だと感じました。まるで、いつでも質問に答えてくれる優秀な若手エンジニアが隣に座ってくれているような感覚です。彼(AI)は決して私たちを馬鹿にすることなく、どんな初歩的な質問にも丁寧に答えてくれました。この経験を通じて、ブラックボックスだったVBAが変わり始めました。自分の手でコントロールできるものになっていく喜びを感じています。
AIは魔法の杖に非ず、文脈と人の判断
確かに、AIは本当に便利なツールです。ただ、やはり「魔法の杖」ではないということを、この一連の経験を通じて強く感じました。AIが提示する改善案はあくまで一般的なベストプラクティスに基づいたものです。私たちの会社の特定の業務フローや、部署独自のルールといった細かな「文脈」までは理解できません。そのため、AIの提案をそのまま鵜呑みにするのではなく、必ず自分たちの業務に照らし合わせて「本当にこれで良いのか?」と考えるプロセスが不可欠だと学びました。
例えば、AIは処理速度を最優先するコードを提案することがあります。ただ、私たちの部署では「多少遅くても、誰にでもコードが理解できるシンプルさ」の方が重視されるケースもあります。あるいは、エラーハンドリングを厳重にすることでマクロの堅牢性は増します。ただ、その分コードが複雑になり、後々のメンテナンスが難しくなる可能性も考えられます。これらの判断は、AIにはできません。私たち人間が、業務の全体像を理解し、何が最も重要かを見極める必要があるのです。AIはあくまで、その判断材料を提供してくれる「最高の相談相手」です。最終的な意思決定は、常に私たちに委ねられているのだと感じました。

AIが変える業務改善:知識不要な主体者、検証と慎重さ
この経験は、私にとって大きな「気づき」を与えてくれました。それは、知識がなくても業務改善の主体者になれるということです。AIを介して、ITツールと対話すればよいのです。これまでIT部門任せだったり、諦めていた問題に対して自分からアプローチできるようになりました。AIが教えてくれた改善案を元に、部署内で「このマクロ、もっとこうしたらどうだろう?」と話し合う機会も増え、チーム全体の業務改善意識が高まったようにも感じています。
もちろん、AIの提案を実際にコードに反映させる際には、細心の注意を払っています。必ずテスト環境で動作確認を行い、本当に意図した通りに動くか、新たな問題が発生しないかを入念にチェックします。そして、元のコードは必ずバックアップを取るようにしています。この「検証」と「慎重さ」は、AIを使いこなす上で最も大切な心構えだと感じています。
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